プロローグ


男なら誰もが持ったことがあるであろう、異世界での冒険という夢。

仲間と協力し、魔物と戦い、ド派手なスキルなどを身につけていく。

俺だってそうだ。そういう夢を持ったことがある。

上級魔法メテオとかそんなんを使ってみたいと思ったし、デカイ剣で敵をバッサバッサとなぎ倒していきたいと考えたこともあった。

しかし、現実ってものは意外と厳しい。

実際、世界を脅かすような魔物や狼人間や魔法使いや悪に立ち向かう勇者なんて存在しない。

そんなものは夢であり幻想だ。存在するはずがない。

世界の物理法則がよくできていることに感心しつつ、いつしか俺はそういうガキな夢をみることがなくなった。

そんなもの存在するはずがないね。そう思っていた。


あの日までは。


なんたって俺が勇者になっちまったんだからな。